文型論における基本動詞の特殊性
動詞には、その意味から文型がいわば自動的に予測できるものと、それとは反対に文型から具体的な意味が確定するものとがある。後者はいわゆる基本動詞で、従来から複数の文型で用いられる動詞として知られているものである。
- The invitation letter got to him yesterday.
- He got angry.
- She got a job at the bank.
- I got my child a new bicycle.
- I'll get him to help with your work.
ここで重要なのは「1つの動詞が1つの型をとると考えるのは誤りである」ということを強調しすぎないことである。動詞の意味に目を向けるからこそ、「この動詞にこの型はあり得ない」などという予想が可能になるわけで、意味から型を予想しにくい動詞を基本動詞と捉える意義がある。ただし基本動詞といっても意味にあまり広がりがないものも含まれるため、このような基本動詞には get, have, make, take など、一般に基本動詞とされている語よりもさらに少なくなるであろう。
こうした、意味から型を予想しにくい基本動詞の学習にあたっては、GDMなどのやり方で、他の動詞に先立って習熟させるのがよいと考えられる。従来から中学校で一般動詞とbe動詞のどちらを先に教えたらよいかという議論があるが、文型論を動詞の意味から再構築すると、一般動詞、それも数語の基本動詞から始めるというアプローチも検討に値すると言えよう。
結語
現在のところ、今ここで示したような文型論に基づいた指導を行い、その適切性を検証するという段階には至っていない。 拙稿を読んでいただいた先生方、特に高校1年をご担当されている方々が、部分的にでも、文型論を見直していただき、授業で実践され、その上でのご批判を頂けるのであれば幸いである。