持田哲郎(言語教師@文法能力開発)のブログ

大学受験指導を含む文法教育・言語技術教育について書き綴っています。

私の入試改革論

はじめに

今回はid:anfieldroadさんの企画「『英語教育ブログ』みんなで書けば怖くない」に参加して記事です。

文法問題の全廃を!

私の入試改革論の目玉は、入試問題から文法問題をなくすことです。文法の学習は大切ですが、そのことと入試に出る文法問題を解くこととは別です。文法問題が出題され続けているかぎり、文法問題が入試問題から切り取られ、束ねられて編集され、問題集が生み出され続けます。もちろん、そうした文法問題集による学習を足がかりにして英語の理解や表現の基礎を固めていければ問題ないのですが、現実にはオレンジペンで問題に答えを書き込んで丸暗記したり、解説を適当に読み流してひたすら繰り返すだけと言った、表面的な文法問題対策に終始している受験生が多くなっています。文法問題が入試からなくなれば、文法問題を「頻出」と称して問題集に取り込むことができなくなります。出題の頻度がゼロになるのですから当然のことです。それでも文法の学習書を世に問うというのであれば、本当に学習効果があり、読み書き(そしてオーラルにも)役立つ内容でなければならなくなるでしょう。

和訳・英訳を出すには・・・

英文和訳や和文英訳を出題する場合は、下線部訳や一文訳ではなく、ひとパラグラフ程度のまとまった文章を訳す問題とすべきです。こうした問題を出す場合は辞書持ち込み可でいいでしょう。問題文を熟読の上でそれと等価になるような訳文を書いていきます。これはTILT(Translation in Language Teaching)を踏まえた問題で、文法構造が捉えられているかどうかという観点だけでなく、問題文の内容を過不足なく伝えていて、かつ文章として適切であることを要求する問題となります。逆に言えば、このレベルで出題できないのであれば英文和訳や和文英訳は出題しないほうがよいと考えています。こうした「翻訳問題」は文学部の入試などで採用されたらいいと思います。

採点基準・解答例の公表を!

基本的には記述式の設問は、大学側で採点基準と解答例を公表すべきだと思います。入試の直後に出せないとしても、例えばオープンキャンパスの際に報告会を開くような形でもよいでしょう。予備校が実施する模擬試験の解説冊子のような形で受験者に配布するのもよいでしょう。とにかく、何らかの形でこれは実行してほしいところです。