持田哲郎(言語教師@文法能力開発)のブログ

大学受験指導を含む文法教育・言語技術教育について書き綴っています。

英語教育この一冊

はじめに

今回はid:anfieldroadさんの企画「『英語教育ブログ』みんなで書けば怖くない」に参加して記事です。最近ブログの更新が疎かになっており、久しぶりの更新となります。

この一冊

英語にとって学力とは何か (新しい英語教育学の探求)

英語にとって学力とは何か (新しい英語教育学の探求)

寺島隆吉先生のご著書です。英語を教えるために日本語学を学んだり、国語教育の大学院に通ったりしたのも、この本を読んだところにその原点があるように思います。学部生時代から学習塾で英語を教えたりしていましたが、学生が塾で教える場合、予備校講師が書いた参考書のように教えることがもっともわかりやすいと考えがちです。私もその一人でした。しかし参考書の多くは基礎ができている受験生を対象としています。しかし、塾で教えているうちにそうした基礎を身に付けさせるにはどうしたらよいか考えるようになりました。前に書いたように認知意味論ベースの説明を試みたこともありました。でも、もっと手前のところから英語を教えていく必要があると感じたときに出会ったのがこの本でした。
「記号づけ」という方法論には賛否両論があると思います。しかし、私がこの『英語にとって学力とは何か』を読んで学んだことはもっと根本的なところで、英語学力の基盤となるのは母語である日本語の学力という考え方です。そして国語力が十分でなければ英語力も十分には身につかないということを改めて学びました。私がその後提案してきた、《My Applied Linguistics》という発想や、「英語教師のための日本語文法」といったことも、この本を読んだことが起点となっていると言っても過言ではありません。