持田哲郎(言語教師@文法能力開発)のブログ

大学受験指導を含む文法教育・言語技術教育について書き綴っています。

『実践コミュニケーション英文法』の文型論⑤

「見る」「聞く」「感じる」という意味の動詞

これも典型的な日本語の動詞から導入を試みている。一応、従来から用いられている「知覚動詞」という用語も併用しているが、ここでリストアップしているsee, hear, feelなどに五感に関わる動詞は「感覚動詞」(sensory verb)と呼んだ方が適切である。しかしある文法用語を別の文法用語に切り替えるよりも、学習者の持つ日本語の知識から直接、直感的に導いてあげる方が適切と判断し、ここではあえて「感覚動詞」という用語を避けた。
またここでは変形生成文法の考え方を一部導入している。「見る」という動詞は〈見る人〉と〈見るモノ・コト〉の存在を喚起させ、学習者は〈誰が、何を(見る)〉という枠組みを思い浮かべる。このとき〈何を〉というのは〈見るモノ〉であることもあるし、〈見るコト〉であることもある。このため〈見るコト〉が表されるときの文の構造をD構造のようなものを使って図示している。

「思う」「分かる」という意味の動詞

これも典型的な日本語の動詞から導入を試みている。ここでは外池(2003)などのように、定形節(that節)と不定詞節(O+to do)、さらには小節(O+形容詞/名詞)に対して統一的に説明を行った。

  • I found that the plan was unwise.
  • I found the plan to be unwise.
  • I found the plan unwise.

外池も指摘するように、5文型に抵触するという理由で、いたずらにこれが第3文型であれが第5文型だなどと分類するよりも、これらの文にある程度の意味の共通性があることを感じとらせることのほうが重要なのである。
もちろんこれらの文の意味の違いにも触れることも大切である。この違いに気付かせることによって、that節がとれる動詞の意味的な特徴を感じとり、これらの動詞が正しく使えるようになるのを促進させられるようになるのである。

参考文献

  • 外池滋生(2003)「英文解釈と生成文法」『英語青年』149(4) pp.17-19.