もっち先生の「もっちり文法」:第1回~第4回の背景・参考文献
「もっちり文法」とは
vimeo.com複言語主義の考え方に基づき、高校生や大学受験生を始め、幅広く、日本文法(現代語・古典語)、英文法、漢文法を比較対照させながら語っていく「動画」として、「もっちり文法」というシリーズを始めました。
教育文法の記述の仕方には、Sharwood Smith*1によると、concentratedとextendedという2通りがあるとされています。concentratedというのは特定の文法項目に焦点を当てて体系的・明示的に扱う主に参照用の文法で、学習者が学んだ知識を自分で使っていくことが求められます。これに対してextendedというのは、学習者の発達段階や置かれている状況に合わせた文法で、抽象的な説明を省いてその分教室での活動によって感じとらせることなども計算に入れた文法の扱い方です。「もっちり文法」はできる限り高校生などの非専門家に伝わるように配慮しつつも、練習問題を用意したりするのでもなく、一定の体系性を保ちながらひたすら語るという点で、concentratedな文法であると言えます。
こうした点を踏まえると、一般の方には文法を深く自由に語る、板書付きのポッドキャスティングと捉えていただいたほうがよいかなとも考えています。
第1回と第2回
この2回の内容の理論的背景は、このブログの過去記事で触れた内容とそれほど変わっていません。
第3回
第3回は認知文法における典型的な他動詞から導入しています。
日英語の比較対照については、次の文献も参考にしています。
第4回
この回はまず、『ヴィスタ英和辞典』の「英語の文字の話」を参考にしています。
それから、竹林滋先生の本の影響もあります。
それから何と言っても大名先生のこの文献ももちろん参照しています。
五十音図の扱いに関しては大名先生のもののほかに、サイレントウェイによる日本語教育で用いられている仮名導入表も活用しています。これは数年前に日本英語教育学会・教育言語学会の年次総会のときに鈴木真奈先生のポスター発表で知りました。
www.decode.waseda.ac.jp歴史的仮名遣いについては、小田勝先生のこちらの文献を参照しました。
このブログは言語教育の理論面を扱う目的で運営しておりますので、今後も「もっちり文法」のこうした背景についてこちらから発信していく予定です。
*1:Sharwood Smith, M. (1981) "Notions And Functions in a Constrastive Pedagogical Grammar" In A. James and P. Westney eds. New Linguistic Impulses in Foreign Language Teaching. pp. 39-53.