持田哲郎(言語教師@文法能力開発)のブログ

大学受験指導を含む文法教育・言語技術教育について書き綴っています。

英語基礎:Sアカデミー「英語S」の背景(その10)

S+V+Cの導入(続き)

指定副教材の『短文で覚える英単語1900』と『コーパス口頭英作文』では、収録されているS+V+Cの例文の大半はBEを用いたものである。このため、日本語の形容詞文(形容動詞文)や名詞文から導入して、日英語の比較対照の中で英語におけるBEの必要性を知解してもらうという方法をとった。この導入で、S+V+形容詞/名詞で、形容詞や名詞が実質的な述語になっている文型が存在することを生徒も確認することができる。そして、英語の文法は動詞中心に考えることにも触れている。ここで日英語の発想の転換が起こるわけで、BEをレキシカル・グラマー的に「ある」「いる」として導入したところで、My mother is.という文は、なんとなく妙であることは生徒も気づく。自分の母親が存命であればどこかにいるのは当たり前であるから、このような文には意味がない。My mother is in the kitchen.であれば居場所を伝えるS+V+Aになり、My mother is a teacher.であれば、教師として存在している、すなわち教師であるということになり、a teacherのような語句があって始めて文が成立することに気づくことになる。こういった過程を経てこれらの語句を「補語」というのだと伝えることになる。

こうしてS+V+Cを導入した後に、少ないながら『短文1900』に収録されているBE以外の動詞の文にも触れていく。becomeとget、そしてseemとlookを用いた例文がある。becomeとgetについては「…になる」「…くなる」、seemとlookについては「…のように見える」「…そうに見える」という意味(というか、訳し方)にだけ触れている。これは後に『英文法基礎10題ドリル』を扱う段階、あるいはその先に『英作文基本300選』『英語構文基本300選』を扱う段階で詳しく扱えばという見通しに立つもので、早い段階で何から何まで詰め込む必要はないという判断に基づくものである。

S+V+C+A

生徒にはS+V+C+Aという文型をこの段階で導入しているわけではないが、「S+V+Cの後に「前置詞+名詞」が必要な形容詞」と称して、『短文1900』に収録されている例文の範囲で例示している。これらも後に形容詞文型や形容詞語法という形でまとめていくことになろうが、やはり詳細は先送りという判断を下している。

高校入試 短文で覚える英単語1900 (シグマベスト)

高校入試 短文で覚える英単語1900 (シグマベスト)

高校入試 フレーズで覚える英単語1400 (シグマベスト)

高校入試 フレーズで覚える英単語1400 (シグマベスト)

コーパス口頭英作文 (CD BOOK)

コーパス口頭英作文 (CD BOOK)